第2章 紫電一閃、青天の霹靂 ✴︎✴︎
「雷の呼吸 ——— 肆ノ型」
「遠雷」
鬼からやや離れた場所にいた巧は刀を横にふるい、放射状に散らばる稲妻の斬撃を放った。
——— しかし。
「ぐっ……!」
“炎心”と呼ばれた青白い光。
その薄気味悪い炎は、巧がいる方向に向かっていく途中でフッと一瞬消えた。
しかし、それは突然巧の目の前に現れる。
そのまま心臓に当たる部分に吸い込まれるように入っていった。
それから彼はゲホッと勢いよく口から血を吐き出すと、両膝をついて地面にうずくまってしまう。
「巧……!」
私は足がもつれそうになりながら、彼に駆け寄って片膝をつく。
そして恋人の体をよくよく観察してみる。
すると、ちょうど隊服の第ニボタンと第三ボタンの間から焦げたような臭いが自分の鼻腔に流れ込んで来た。
私は咄嗟に鼻を塞いだ。
「焼けてる……?」
少しだけ気分が落ち着いた為、鼻から手を外した後は様子を見ながら恐る恐る顔を近づけていき、じいっと彼の胸元を凝視する。
「……うっ……」
胸をグッと押さえながら、再度巧はゲホっと血を吐いた。
「ちょっとごめんね」と謝りながら巧の隊服とシャツのボタンを少し開けてみると、心臓に当たる部分が黒く変色していた。
煙もその中心からモワッ……と上がっている。
「衣服は焼けずに体だけ焼く……人体にだけこの炎は反応するって事?」
私は顎に手をやりながら、左に小首を傾げた。