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炎雷落ちるその日まで / 鬼滅の刃

第40章 彼を褒めれば笑顔に当たる ✳︎✳︎ +




「すみません、これはちょっと門外不出…と言いますか、私以外には見せたくありません」

「無論、君以外に見せるつもりはないぞ」
唇に弧を描いて、綺麗に笑ってくれる彼にまた胸が高鳴ってしまう。

「七瀬、俺も君に塗って良いだろうか」
「え……?」







「案外難しいものだな…」
杏寿郎さんが私の爪先に橙色を先程から載せてくれている。


「慣れもあるんじゃないでしょうか…あ、でも上手ですよ」
「うむ、こんなものか」

彼が最後の小指を塗り終えた。ハケを容器にしまい、私の爪先をじっと見てくれる。


「私が塗るより綺麗です。やっぱり杏寿郎さんは繊細な作業も得意ですよね…」

彼の爪と同じ色が私の爪でもキラキラと輝いている。


「緋色も似合っていたが、君はこちらの色の方が良い。とても馴染んでいる気がする」

「そうですか?ありがとうございます!杏寿郎さんがそう言ってくれるなら、毎日塗ろうかな…」

弾む気持ちを抑えきれない。そんな心情でいると…


「毎日は困る」
「え……?」
「俺と2人でいる時だけにしてほしい」
ドクン、と心臓が高鳴る。


「君が爪紅を塗る時は俺に見てほしい時だろう?」
「…はい、そうです」
「うむ、であれば……」


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