第40章 彼を褒めれば笑顔に当たる ✳︎✳︎ +
「お疲れさまでした、杏寿郎さん」
「お疲れ、七瀬…完成したのだな。見事だった!」
「ありがとうございます」
よしよし、と頭を撫でてもらえば更に上機嫌になる私。
「木刀は俺がしまおう。その後はいつものあれを頼む」
「わかりました。ではこれをお願いします」
彼に木刀を渡した後は縁側に座り、置いてある手拭いで首や額を拭いていく。
今日もよく動いた……!
「はい、手ぬぐいどうぞ」
「ああ、ありがとう」
木刀をしまい終え、私の隣に座った杏寿郎さんも首や額の汗を拭いた。
「では頼む」
「はい」
彼が右手を私に差し出したので、それを自分の左掌に乗せ、薬指を除いた4本の爪の両脇をほぐしていく。
「左手お願いします」
「うむ」
続けて右掌に彼の左手を乗せて、こちらの爪も4本共、両脇をほぐす。
「はい、終わりです!」
「ありがとう。とてもスッキリした!…ん? 七瀬 どうした…」
私が彼の手をなかなか離さないので、疑問に感じた恋人がそう聞いて来た。
「杏寿郎さんの手はやっぱり綺麗だなあって思って見ていました」
「綺麗…か?」
不思議そうな彼だ。
「指も長いし、爪の形もとても綺麗です」
「ふむ……君にそう言ってもらえるのは悪くないな」
そう言うと、見てるこちらが元気になる笑顔を見せてくれる。