第40章 彼を褒めれば笑顔に当たる ✳︎✳︎ +
4月も終わりに差し掛かり、初夏の陽光へと太陽が変化して来た頃の事…。
七瀬と杏寿郎は朝の稽古をやっていた。
カン—— 七瀬が攻める
カン—— 杏寿郎が払う
カン、カン、カン……と打ち合っていた次の瞬間。
「炎の呼吸 漆ノ型」
『む…完成したのか』
目の前の継子が未知の型を放つ準備に入る。
「——— 紅蓮業火!(ぐれんごうか)」
七瀬が反時計周りに体の前で円を描くように太刀を回すと、グワッ.......と激しく燃え上がる炎の輪が現れる。そこからその輪を押し出すように木刀を突き出した。
「炎の呼吸・壱ノ型 —— 改」
杏寿郎は腰を深く落とし、踏み込む姿勢になる。
「—— 不知火・連」
木刀を左右に振り、繰り出された炎の連撃で漆ノ型をあっという間に相殺。
『やっぱり流石の判断…』
七瀬は水に呼吸を切り替え、同じく連続攻撃の肆ノ型を放った。
「肆ノ型・打ち潮!」
「弍ノ型・昇り炎天!」
型を出し合った後は再び、打ち合う2人。
カン、カン、カン………バシッ!!
「あっ……!」
一瞬の隙を突かれた七瀬は木刀を弾かれる。
「……参りました」
「よし、今日はここまで」
「ありがとうございました」とお互いに一礼をした後、七瀬は杏寿郎に駆け寄った。