第6章 諦めないこと、続けること、信じること
煉獄さんも柱全員で冨岡さんを笑わせよう!……そんな提案をお館様からされた時の事を教えてくれた。
その他 —— 千寿郎くんと言う年の離れた弟さんがいる事だったり、さつまいもが大好物と言う事だったり。
どれもたわいのない話ばかり。だけど私はこのやりとりに癒されている。
「スターチスの花言葉、調べました。ありがとうございます」
「良かっただろうか。この花で」
「ええ。ぴったりですよ」
スターチスの花言葉の1つ。
“途絶えぬ記憶” これ以上のお花はないと思う。
「彼とは一年しか一緒にいれなかったので……思い出は多いか少ないかと聞かれれば、そんなに多くはないんです」
「だけど。どれもが私にとってはかけがえのないものですし、忘れる事はできません」
墓前に向けていた顔を煉獄さんに向ける。彼は真っ直ぐに私を見てくれていた。
「そうそう、巧の遺書にも剣士をやめるなと書いてありましたよ。どうしても伝えたかったみたいです」
「君の事を恋人としてだけではなく、剣士としてもきちんと見ていたのだな」
「そうですね」
剣士として、か。私はどうなんだろう。もう少しで柱になる所だった巧を凄いなあとは思ってはいたけど……
恋人としてしか見ていなかった気がする。