第38章 よもやのわらび餅
両手から右手に日輪刀を持ち変え、弓を引っ張るように後ろに引く。それから左手は掌を正面にして真っ直ぐと伸ばした。
茜色の刀身が先端から少しずつ炎に包まれていく。
——よし。
半分まで炎を纏った所で、それはピタッと止まる。
「陸ノ型」
ここで刀身が更に炎で包まれた。二重の炎だ。
「——— 心炎突輪(しんえんとつりん)」
水の呼吸の漆ノ型と同じように、目の前に剣を突き出す。
先端から繰り出された炎の斬撃が槍のように細長くなり、そのまま空気と混ざって残像を残した。
「………まだまだ改良しないといけないと思いますが、基本的な形はこう言った物ですね」
納刀をした私は、右横に並んでいる3人に顔を向けて話しかける。
「……………」
「……………」
「……………」
誰も何も発しない。
「あの、皆さんどうされたんですか?」
大した事なかったのかな……。
「七瀬さん!」
千寿郎くんがやや大きめの声を出しながら私に駆け寄る。
「ど、どうしたの?」
「凄いです!ごめんなさい、それしか思いつく言葉がありません!」
きらきらと輝く白日(はくじつ)の双眸にフッと笑顔がこぼれる。