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炎雷落ちるその日まで / 鬼滅の刃

第37章 不機嫌な萌黄に八雲謝る、の巻



「なんか栞さんの気持ちわかるかも」
「え?七瀬さん、それ本気で言ってます??」

うん、と大きくゆっくりと頷けば、目の前の沙希は途端に頭を抱えた。

「そう思うのには、ちゃんと理由があるんですよね?」
「うん」

だってさ……

「杏寿郎さんの継子になって10ヶ月と少し。私一度も稽古で一本取った事ないもの」

そう私が言うと、彼女はようやく「なるほど」と、納得した表情を見せた。






例えば ——— その1。

稽古中の事だ。


「炎の呼吸——— 」
ここだ!私は瞬時に判断し、呼吸を出すと見せかけ、木刀を下から払うように攻め込んだ。

……………けど。


「案は悪くないが、一連の動きに少しばかり無駄がある」
杏寿郎さんに木刀を思い切り弾き返される。


「せっかく隙があると思って攻めたのに」
「残念だったな」

また一本取れなかった……。





例えば………その2。最後の締め稽古である腕相撲の時 ——

バタン!バタン!バタン!


「痛すぎなんですけど……」
痺れた右腕をさすると、涙も悔しい気持ちと一緒に目から滲む。

「また俺の勝ちか。これで何勝目だ?」
「400…?500?すみません、覚えていません」

これも、相変わらず勝てない。全戦全敗。




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