第36章 3日分の炎 ✳︎✳︎ +
「私、あなたが大好きです」
「ああ、知っている……」
最初に額。
それから両瞼、鼻、両頬…と恋人から口付けの雨が降って来る。七瀬が降らせてくれる雨は優しく温かい。
だから、傘は必要ない。俺は両腕を彼女の細い首にゆっくりと回した。
そのまま愛らしい七瀬からの思いがこもった口付けをじっくりと堪能していると、彼女の左太ももに俺の昂りが当たる。
首、鎖骨と唇で辿って行き、辿りついたのは自分の胸。すると七瀬は蕾を口に含み、もう一つは指で挟んだ。
ん…悪くない。
それから、彼女の髪に両手をゆっくりと差し込む。サラサラとした髪だ。一旦彼女の顔が上がったかと思うと、こちらをチラリと見る。
「……何か企んでいる顔だな」
「ふふっ。流石、お見通しですね」
七瀬は俺の蕾の近くに唇を持っていき、3回程やや強めに吸い上げた。
「はっ……しるし、か」
先程自分が咲かせたものより小さいが、そこにはハッキリと赤い花が綺麗に咲いている。
「これで、おそろいです」
彼女は3つの花をゆっくりと撫で、それぞれに口付けをした。
『あなたが大好き…』
直接口には出していないが、そんな思いを感じる。七瀬が一回一回大事に唇を当ててくれたからだ。