第36章 3日分の炎 ✳︎✳︎ +
それから彼女を布団にゆっくりと押し倒しながら口付けを贈る。
熱い舌を七瀬の舌に絡める。お互いの息が混ざり合い、水音が艶っぽく響いた。
「杏寿郎……さん……」
「んっ、どうした」
彼女の心臓がドクドクと脈打つ音が、重なった肌を通じて響く。
「私もあなたに気持ちよくなってもらいたいんですけど……」
…………!その言葉に自分の動きがぴたりと止まる。
「それは嬉しいが、無理はしなくても大丈夫だぞ?」
俺は彼女の頭をいつも通り、撫でた。
「いつも大事にしてもらっているので、お返ししたくて……」
……こう言われて断れるわけがない。
「では、頼めるか?」
「はい」
彼女の体をゆっくり起こし、そして俺は布団に横になる。恋人が俺の上に跨った。自分を見下ろす七瀬に胸がドクンと高鳴っていく。
「杏寿郎さんはどこから見てもかっこよくてドキドキします」
俺が彼女にいつもしているように、小さな掌で左頬を優しく包むと、柔らかく撫でてくれた。
「ここから見る君は新鮮だな。かわいい事に変わりはないが」
「……ありがとうございます。ねえ、杏寿郎さん」
「なんだ?」
今度は自分の右手を彼女の滑らかな左頬にいつも通りあてる。