第36章 3日分の炎 ✳︎✳︎ ＋

「なぜ薬指はしなかったんだ？」

「ああ、そう思ってしまいますよね。薬指を刺激すると、確か心身が興奮状態になってしまうんだそうですよ」

興奮状態………自分の心にある思いが灯った。

「なるほど」

含み笑いをした俺は、彼女の左右の薬指を順番に刺激する……やや強めに。

「もう、何するんですか？」
「いや、先程と同じで、良い事を聞いたと思ってな」

しばらく待つと、彼女の顔にほんのり赤みがさして来た。よし……。
そうして俺は彼女の愛液が溢れたままの出入り口に、するりと2本の指を入れる。


「あ、ん」
再度愛らしい声を出す七瀬。

「君と話すのはとても楽しいのだが、そろそろこちらも良いか？」
一度ゆっくりとかき混ぜると、彼女の中がきゅっ…と締まる。


「……体でも、君と会話をしたい」
更に壺の中を掻き回すと、途端に目の前の恋人は蕩けた顔を見せ始める。

「あ…すみません…」
「どうした？」
空いている左手で彼女の柔らかな右頬をそっと包んで撫でた。

「会話は…出来ないと…あん…思います」
「何故だ？」

七瀬……理由を教えてほしい。

「杏寿郎さんに…んぅ…溶かされそうですから」
「……そうか。では…」



「互いに溶け合うとするか」


夜が明けるまで……