第6章 諦めないこと、続けること、信じること
「なあに?」
「1日で割ったでしょ。凄いよ」
カナヲはきっぱりとそう言ってくれた。
「ありがとう。カナヲにそう言ってもらえるの本当に嬉しいよ」
私がそう返せば、彼女はニコッと笑ってくれる。
「……今日は一緒に出来るの?」
「ああ。手合わせ?」
「うん」と、カナヲが首を縦に振る。
診察の後、庭に来ると大体彼女がいる。だから手合わせするのがいつもの流れになっているのだけど……
私がしょっちゅう負けるし、カナヲからしたら面白くないんじゃないか?そう思い、以前聞いてみた事がある。
すると ——
「七瀬ちゃんとやるのは楽しいから」
この返答が返ってきた。私はこれにギュッと心を掴まれてしまった。
「ひょうたん割りをやらせてもらうからアオイちゃんの手伝いをするってしのぶさんと約束してて。それが終わったら大丈夫だよ」
「わかった。待ってる」
だって。待ってると言うカナヲが可愛くて、胸がきゅんとした。
「じゃあ後で!」
私は後輩に手をふると、アオイちゃんの元に急いだ。
この日の手合わせの結果 ———
いつも通り、カナヲの勝ち!
本当に強い。その一言だ。でも……いつかは勝ちたいな。
その日を信じて、頑張ろう。