第35章 緋色の戸惑いと茜色の憂鬱
そうして、今現在に至る。
本当に自分は子供だな。好きな人に全く逆の感情をぶつけてしまった事に「後悔」と言う言葉だけが頭を、そして胸の中を駆け巡る。
このまま口も聞いてもらえない。抱きしめてももらえない。
何よりあの見ているこちらが元気になれる、彼の笑顔も見れない。
そんなのは絶対に嫌だ。ちゃんと謝らなきゃ。意地なんて張ったって、何一つ良い事はないんだから。
私は涙をグイッと拭うと浴槽から溢れたお湯と一緒に出た。
体を拭き、着物に着替えて脱衣所の扉を開ける。
廊下に一歩足を踏み出すと、私の顔に硬いものがドン、と壁のようにぶつかる。
「……痛い」
直撃した鼻をさすりながら見上げてみると……