第35章 緋色の戸惑いと茜色の憂鬱
「………」
私も木刀をいつも置いてある場所に戻して、家の中に入る。湯浴みしようかな。まだ昼食の準備には早いよね。私は浴室に向かった。
コンコン……と、扉を2回程叩く。
返答がない事を確認した私はスッ…と開け、脱衣所に入る。
服を脱ぎ、浴室の扉を開けて中に入り、まずは体を洗う。石鹸で泡立てた手拭いを右腕からあてていき、全身をくまなく泡で包んだ。
桶にお湯を入れて、全身の泡を流すと私はゆっくりと浴槽に体を沈める。
……大嫌い、なんて言ったからやっぱり嫌われたかな。……目が合うのって、稽古以外ないもんね。
目頭が熱くなる。そして私の目から涙がボロボロ溢れ出した。