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炎雷落ちるその日まで / 鬼滅の刃

第34章 岩柱・悲鳴嶼行冥 +




「全く…俺は七瀬の愚痴の捌け口じゃねえんだけどな」

洗い物を済ませた玄弥は、自室にて炎柱の継子から届いた手紙を読んでいた。文にはこう記してある。


【不死川玄弥 様

日々の任務、お疲れ様。怪我なく元気に過ごしていますか?

先日師範が風柱と手合わせしたらしいのね。帰宅した時、すっごく充実した顔だったの!! 私と鍛錬してる時には全然見せた事ない顔でさ〜、でも凄くカッコ良くてね。

そんな表情をさせるぐらい強い風柱にめちゃくちゃ嫉妬した! 私も師範にあんな素敵な顔させたいよ〜!!】


『時々惚気も入ってっし……何だこの手紙。気持ちはわからなくもねーけど』


玄弥は先輩隊士であり、同じ弟子と言う立場の七瀬とは時々このように手紙で励まし合ったり、愚痴を吐き出す仲になっていた。

今日初めて炎柱と間近で接した玄弥。
彼は杏寿郎の人柄や滝行を終えた後の姿を観て、七瀬が炎柱をとても尊敬している事を実感したからだ。

自分の師である行冥とはまた違う頼り甲斐。一般隊士を統率する力、それから ———


「悲鳴嶼殿の元で鍛錬をしている君は凄いな! 岩柱殿は何と言っても鬼殺隊一の剛腕と言われている。俺はすぐに継子が逃げ出してしまうのだが、悲鳴嶼殿も呼吸の特性故になかなか弟子が育たないと聞いたぞ」


玄弥は呼吸が上手く使用出来ない。
それにも関わらず、行冥の元で修行を続けている自分を心から労ってくれる懐の深さに、感激したのだ。











「悲鳴嶼殿、不死川少年、邪魔したな! 今回は貴重な体験が出来た故、良い時間になった。ありがとう!」


三十分後、これから県外の任務へ出かけると言う杏寿郎を行冥と玄弥は門扉から見送ろうとしている。

杏寿郎も玄弥も身長は大正時代の平均のそれより随分高いが、二百センチ超えの行冥と並ぶとまるで大人と子供だ。


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