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炎雷落ちるその日まで / 鬼滅の刃

第31章 風を知り、岩を知り、そして全呼吸の理(ことわり)を知る



〜玄弥から見た景色〜


「あ、そうだ…こないだね、お兄さんの所行って来たよ」
「そっか……」

にいちゃん…。不死川実弥。俺のすぐ上の兄だ。同じ鬼殺隊に所属しているけれど——


『テメェみたいな愚図、俺の弟じゃねぇよ。鬼殺隊なんてやめちまえ!』


この通り、にいちゃんとの関係は良好とは到底言えねぇ。
まだ7人兄弟で母ちゃんと一緒に暮らしてた時の事だ。
帰りが遅い母ちゃんをにいちゃんが外に捜しに出ている間に、家にいた俺達6人に獣が襲いかかって来た。


俺以外の弟妹はあっと言う間に殺されてしまい、戻ってきたにいちゃんはその光景を見るなり鉈を手にし、その獣と共に窓から屋外に飛び降りた。

必死になって応戦するにいちゃん。
だけど……その獣の正体は鬼になった母ちゃんだった。そして、夜が明ける。

医者を呼びに外へ出ていた俺は呆然とした。
自分の血と返り血を浴びて刃物を手に持つにいちゃんは血まみれのまま、母ちゃんの死体の前で呆然と立ち尽くしていた。


倒れた母ちゃんの様子を見て動揺した俺は、にいちゃんに「人殺し」と叫んでしまった。
そして俺が抱き抱えた母ちゃんの身体は、日の光を浴びてボロボロと崩れ去る。


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