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炎雷落ちるその日まで / 鬼滅の刃

第31章 風を知り、岩を知り、そして全呼吸の理(ことわり)を知る



「どうだったんだ?不死川は」

風柱邸から帰宅して、昼食を済ませた後。書類の整理が終わった杏寿郎さんの部屋に私は来ていた。


「不死川さん、とても説明がわかりやすかったです。びっくりしました」
「だろうな!彼はああ見えて、きちんとしている所がある」

本当に、本当に。


「それで……」
「うむ、どうした?」
腕組みをして、私の顔を左横から覗き込む杏寿郎さん。


「月に一度は来い……との事でした」
「む………何故だ?」
「私の太刀筋が面白いんだそうです。だからまた手合わせしたいと」

ほう、と感心したような声を出した彼は私の頭を撫でてくれる。


「嬉しい話だ。師匠冥利に尽きる」
「そうなんですか?」
「ああ」

杏寿郎さんは私の頭を自分の胸に引き寄せ、髪を優しくとき始めた。


「時透も君と手合わせしたいと言っていたしな」
「……そうでしたね……」

「俺の継子は本当に大したものだ」
「……杏寿郎さんの指導が上手なのもありますよ?」
「そうか?」

はい、と頷いた私は空いている彼の左手に自分の右手を絡める。
すると、彼も自分の手を私の手に絡めてくれた。
杏寿郎さんの体温がじわっと掌から伝わって来る。


「七瀬は継子としても、恋人としても……どちらにせよ、俺の自慢だ」

「ん……」

髪をとかしていた右手が私の顎をそっと掴むと、優しく、温かい口付けが唇に届く。


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