第31章 風を知り、岩を知り、そして全呼吸の理(ことわり)を知る
追い返すと言う事も考えた。
しかし、興味の方がほんの少しだけ上まわった。そう言った理由もあり、俺は長友に中に通すよう伝えた。
実際接してみると、感情が全部顔に出やがる。どっかの誰かにそっくりだった。一戦交えてみれば、太刀筋が面白い。
結局最初に苦手だからと断った座学までしちまった。不思議なヤツだよなァ、ホントに。
「おにいちゃん」
そう呼ばれて、死んじまった妹とつい重ねたのかもしれない。
「にいちゃん……」
そして、もう1人。俺をそう呼ぶどっかの誰かは、相変わらず鬼殺隊にいやがる。早くこんな所、やめちまえ。何の為に俺が突き放したと思ってんだ。
そいつの名前は不死川玄弥。
7人いた兄弟の中で唯一生き残った…俺のすぐ下の弟だ。