第31章 風を知り、岩を知り、そして全呼吸の理(ことわり)を知る
〜実弥から見た景色〜
「おにいちゃん…」
俺をさっき、そう呼んだ女は煉獄の継子だ。
沢渡七瀬。兄貴が鬼になったあげく、襲われそうになった所を冨岡が助けたんだとさァ。
柱合会議で見たこいつの第一印象。
「めんどくさそうな奴だなァ」
青かった日輪刀が突然赤く変化したと言う前代未聞の理由。
それが発端でお館様と俺達柱の前に姿を現した。冨岡の妹弟子と知り、ますますめんどくさい印象が倍増した。
それから任務等で会う事もなく、正直最近まで存在を忘れていたんだが……先日の赤坂氷川神社の任務で、竈門や煉獄と呼吸を合わし、八岐大蛇を退治した。
そして炎の呼吸の改の2つ目を編み出したらしい。これを耳にした時、少しばかり俺は興味が湧いた。
そんな時に沢渡から手紙が届く。何でも風の呼吸について知りたいと言う事だった。
俺が字を書けないと言うのを何処で知ったのか?
“都合が良ければ、来週の水曜日に伺います”と書いてあった通り、本当に来やがった。
この日はたまたま俺の非番日だった。
お前は俺の予定を把握してんのかよ?偶然だとは思うが、流石にこれには驚いた。