第31章 風を知り、岩を知り、そして全呼吸の理(ことわり)を知る
「水の呼吸・弐ノ型・改」
「———横水車!」
水に呼吸を切り替え、その風を横方向に回る水車で打ち消す。先日の大蛇退治の時に炭治郎が使用した型と同じものだ。
それから一旦、地面に着地。再び呼吸を整える。
「炎の呼吸・伍ノ型・改」
すると、不死川さんも呼吸を整える。
「風の呼吸・漆ノ型」
「———— 炎虎・番(えんこ・つがい)!!」
「———— 勁風・天狗風(けいふう・てんぐかぜ)」
途中から双頭になる赤い虎を放つ私に対し、空中で体を捻り、旋風のような縦回転斬りを連続で放つ風柱。
『うわあ、これじゃあ虎が吹き飛ばされる……!!』
ここはもう一つ、念押しで………
「肆ノ型・盛炎のうねり!」
2つの炎虎を後押しするように、私は渦状の炎を前方に放った。
「ほんっとお前、面白れぇなァ……」
「風の呼吸 —— 」
風柱がまた型を放とうとした時 ——
カアーカアー
お屋敷の屋根の方から黒い鳥が見える。
「小町!どうしたの?」
私の鎹鴉がこちらに向かって来た。
「七瀬!玄弥カラ手紙!」
「玄弥……?」
「玄弥……だとォ?」
そのまま小町は私の肩に止まると、はためかせていた羽根を一旦閉じた。