第31章 風を知り、岩を知り、そして全呼吸の理(ことわり)を知る
「あ……すみません、すぐ再開しますから」
小町の脚にくくりつけてある手紙を素早く取ると、隊服の胸ポケットに入れ、相棒の嘴を撫でてから離す。
「……いや、その必要はねェ。お前の力はよくわかった。…大事な手紙なんだろ?」
どうしてわかるんだろう…。
「待ち侘びてたって顔してっぞォ」
「私、そんなにわかりやすいですか?」
風柱の掌が私の頭にポン、と乗せられる。
え……?
「ああ、お前は思った事が何でも顔に出んだなァ」
わしゃわしゃと頭を撫でられた。
「ちょっと!もう…何するん……」
“ですか”……その言葉は口に出なかった。不死川さんが私を物凄く優しい目で見てたから。
『おにいちゃん……』
その姿が亡くなった兄と重なり、胸が熱くなってしまった。
「お前、兄貴いたのかァ…」
「え、あの、声出て…」
「出てたぞォ…その様子だと鬼にやられたか?」
「はい…鬼にされてしまって…」
…………それから、襲われそうになって…
「全然私の事、わかってくれなくて……」
目から涙がじわっ…と出てくる。
「やられる!って思ったら、冨岡さんが助けてくれたんです…」
「冨岡ねェ」
不死川さんは、はあと1つ息をついた。