第31章 風を知り、岩を知り、そして全呼吸の理(ことわり)を知る
「なるほどなァ、これが改ってやつか」
不死川さんは不知火の連撃を鮮やかな剣捌きでどちらも相殺すると、素早く木刀を私に振り下ろして来る。
『連撃を受けた後のこの反応……速いだけじゃなくて……上手い…』
カン、カン、カン、カン…………
彼の太刀を受けては払う。剣圧は杏寿郎さんの方が少し上かもしれないけど、とにかく上手い。
力任せに打ち込むだけではなく、計算された太刀。臨機応変に対応する剣技と言っても良い。冨岡さんの技術の高さともまた違う。
彼の技術が「流麗」なら、不死川さんの技術は……
「多彩」
「2つの呼吸を扱うとあって、なかなかおもしれェ太刀筋だなァ。水と炎…上手く融合してんじゃねェかァ」
「ありがとうございます…でも、不死川さんだって…凄い技術です……よ!」
一度、大きく彼の木刀を払った私は後ろに飛びのく。そして、スウ……と呼吸を整える。
「炎の呼吸・参ノ型」
「—— 気炎万象」
高く跳躍して、木刀を真上から風柱に振り下ろした。
「風の呼吸・参ノ型」
「晴嵐風樹(せいらんふうじゅ)」
ブワァッと竜巻の如く、激しく斬り付ける風の斬撃で防御される。
私の周囲にその風の残風が向かって来た。
ん、凄い風圧………!