第30章 可愛いとかわいい ✳︎✳︎ +
包んだまま、今度は上下にゆっくりと動かしてみる。
「んっ……」
満足そうに目を細める杏寿郎さんの表情をみながら、律動を調整していく。
ゆっくり動かせば、気持ちよさそうに。速く動かせば、少し顔を歪める。息を艶っぽく出す様は女の私からみても、とても綺麗だなあと思う。
これは本人に言わない。私だけの秘密にしたいから。
自分だけが知っている彼の特別な一面を、そうっと心の底に閉まって時々覗く事にしようかな。
「もう…大丈夫だ。気持ち良かった」
「良かったです、ん……」
男根に触れていた自分の手を彼がゆっくりと外す。
続けて私の両頬が大きな手で包まれ、また啄む口付けが始まる。
彼の首に自然と回すのは、自分の両腕だ。
「七瀬との口付けは、んっ…本当にたまらないな。全く、飽きない」
啄む口付けがひと段落すれば、次は舌を絡め合う口付けだ。飽きないし、気持ちいいし、何より……
「私も杏寿郎さんと口付けするの、大好きです……よ?」
この一言なんだけど……あれ、なんか視界がぐるぐる回る…??
「七瀬??」
杏寿郎さんの声がだんだんと遠くなる。私はそのままのぼせてしまった。