第30章 可愛いとかわいい ✳︎✳︎ +
んっ、それされると本当にダメ。
体の中心が甘く疼き、ゾクっと痺れが全身に走った。
「どうだ?」
変わらず耳元で彼の心地よい音が響く。杏寿郎さんの声は低くて、艶っぽくて、どこまでも私を蕩けさせてしまう音色だ。
「言わないと、ダメです、か……?」
「ああ。言ってくれないと……わからないからな」
右胸からスッと掌が外れた、と思うとその大きな手に左頬を包まれ、顔を後ろに向かされる。
そこにあるのは私をじいっと見つめる日輪の双眸。
ふっと彼の目尻に柔らかい笑みが宿ったかと思うと、唇に杏寿郎さんの柔らかな唇がゆっくりと重なった。
優しく啄むように触れた後、熱くなった恋人の舌が隙間を這うように、口内に入りこんで来る。
それから左胸の蕾がキュッ…とまたつままれた。
「あん…すごく……気持ち…良い、です」
「七瀬…もっと……”いい”が……聞きたい…」
口付けがまた深くなると、舌同士の交わりも増える。
どんどん固く熟す尖り。そこに触れている彼の指の速度がやや急ぎ足になると、私の口からまた声が出てしまう。
「ん……たまには」
口付けが続いていたけど、自分の体も彼の方に向けられた。まだ……触れて、ほしかったな。
一瞬だけそんな事を考えている間に右手を掴まれ、上に向かってそそり立つ彼の男根が掌に当たる。
わっ………大きい!!
いつもこれが私の中に入ってるんだ……意識した瞬間に体の中心からジワジワと羞恥心が湧き上がって来る。
「優しく頼むぞ? 俺も君に気持ちよくして貰いたい」
「はい……」
それまで絶えず続いていた口付けが止むと、恋人の瞳が私の瞳をじいっと捕らえる。
甘いけど、色香も感じられる双眸だ。顔が一気に赤くなるのを感じながら、まずはゆっくり竿を包むと、掴んでいた杏寿郎さんの手が離れていった。