第30章 可愛いとかわいい ✳︎✳︎ +
八岐大蛇を討伐してから、1週間経った。
「ふう、気持ち良い……」
今日の稽古が終わり、汗もたくさんかいたので湯浴みをしている所。体も洗い終わって、浴槽にゆっくり浸かるこの瞬間は本当に至福の時間。煉獄邸の浴室はとても広いので、贅沢な気分も味わえる。
継子になりたての頃は打撲や青あざが絶えなくて、湯浴みをするのは辛かったけど、今はそういう事も随分と減った。私も少し成長したって事かな?
その時の事を思い出していると、ギュッ……と後ろから大きな腕が回されて私の体が包み込まれる。
周りのお湯がパシャン!と跳ねた……これはさっきまで一緒に稽古をしていた、恋人の腕だ。
「浴槽の中でこうして肌を触れ合わせるのは新鮮だな」
杏寿郎さんは私の右の耳元で囁くように言うと、大きな掌を胸の位置に当てる。そして優しく包むようにそこに触れてくれた。
「あ……ん…」
私の体が少し跳ねるとお湯もちゃぽん、と跳ねる。
「良い反応だ」
そう呟くと、彼は2つの蕾を優しくキュッとつまむ。
「もぅ…ダメです…」
「ん?それは良いと言う事か?」
更にキュ、キュ、と連続でつままれる。今度は少しだけ強めに。
「…だから…杏寿郎さ…ダメ…」
「…君はこうされるのが好きだろう?俺は”ダメ”ではなく……七瀬の……”いい”が聞きたい」
更に右の耳元で囁かれた後、甘い口付けがそこに一つ落ちた。