第28章 神器と共に炎の神楽を舞い踊れ ✴︎✴︎ +
彼の周りを青い光がバチ…バチ……と音を出しながら取り囲んでいる。いつものように前傾の姿勢になり、左手は鞘を、右手は柄を握った。
呼吸音がする———
「雷の呼吸・壱ノ型」
「霹靂一閃」
「————————八連!」
左足で地を蹴った後は、2回、3回、4回……と両足を交互に使って同じように地を蹴り、最後の4回で楼門をドン……!と踏み台にすると、上空から降ってくる土を1つ残らず、雷刀で粉砕した。
「面白い……血鬼術———」
「地天栄達(ちてんえいたつ)」
2度目の血鬼術を放った地を操るこの蛇は、身長190センチ近くの大男。華やかな風の蛇とは正反対で顔立ちは地味、と言ったら失礼かな?でも敵だから良いよね。
赤錆色(あかさびいろ)の瞳、髪色、蛇の形をした頬の痣。
素肌の上に錆色(さびいろ)の長袖の羽織を纏い、長い袴は黒一色。足元は草履を履いていた。髪の長さは肩にかかるか、かからないか。尾の先にある蛇の頭は何だか地味。
その地味な…もとい。朴訥とした茶色の鬼が放った術は地面から土が盛り上がってくる所までは一緒。
その後は回転しながら、私と杏寿郎さんがいる場所に向かって来る。
「全集中・炎の呼吸—— 」
私が呼吸を整えている間に………。
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赤錆色(あかさびいろ)……… 鉄の表面が酸化して生じた鉄錆のような暗い黄赤色。
錆色(さびいろ)………… 鉄錆のような赤茶色。