第28章 神器と共に炎の神楽を舞い踊れ ✴︎✴︎ +
「獣の呼吸 弐ノ牙」
「———切り裂き!」
「ムー!!」
伊之助が腕を交差させるように2つの刀を振り、十文字状に風の斬撃を斬り裂く。
続いて禰󠄀豆子が鋭い爪で、颯(はやて)に切りかかるが、その体を大きく後ろに逸らしてかわした。
「へーぇ。君達、なかなかやるじゃん!じゃ、これはどうよ?…血鬼術————」
「烈風砂塵(れっぷうさじん)!」
伊之助に向かって、砂ぼこりが激しく降りかかっていく。
目や鼻に入れば、途端に視野が狭くなったり、塞がれたりする術…かな。猪頭の伊之助にはあまり問題がなさそうだけど…
「うぉっ、何だ、これ。体にまとわりついてきやがる、気持ちわりぃっ!!」
「全集中—— 水の呼吸」
「弐ノ型・改 — 横水車!」
炭治郎が伊之助を取り囲もうとしていた、残りの砂ぼこりを横に回転する水車で弾き飛ばす。
「あっぶねー……」
「あーもう、面白くねーな!沃野(よくや)、交代。頼むわー」
風の蛇は4人目の蛇の肩をバシンと叩いて、一旦後ろに下がる。
「………相変わらずうるさくてかなわん」
沃野(よくや)と呼ばれた蛇は嫌そうに颯(はやて)を一瞥すると、両手をパンと合わせて目を瞑る。
「血鬼術————」
「地盤落下傘(じばんらっかさん)」
茶色い蛇の目の前の地面がむくむくと盛り上がり、そのまま放射状に土が放たれたかと思うと、勢いよく落下していく。
その落下するであろう、先にいるのは善逸。頭を俯けて、ゆらりと立っている。
…………寝ているんだよね?