第28章 神器と共に炎の神楽を舞い踊れ ✴︎✴︎ +
走る事5分。私は目の前に日輪刀を納刀し終えた恋人の姿を見つけると、一目散に駆け寄る。
「七瀬!!君は大事ないか?」
自分を「君」と呼んでくれる彼。間違いなく、杏寿郎さんだ。
私はぎゅう……と恋人を勢いよく抱きしめた。
「………七瀬」
「杏寿郎さん………!」
「………」
「………」
「七瀬」
今度は少し強めに名前を呼ばれたので、ゆっくりと頭を上げる。
「はい……」
「今、任務中だと言う事を忘れてないか?」
「あ、すみません………」
私はそう言われて、パッと彼から離れる。
「どうした、何があった?」
私の頭に大きな掌がポン、と乗せられた。
「はい……」
先程あった出来事を泣きそうになりながらも、話していく。
「俺もだ。横にいた君と話していたんだが、急に呼び捨てで呼ばれてな。即座におかしいと思って様子を見ていたら、炎の蛇から攻撃された」
「そうだったんですね………何だか心を試されているようでした」
「ああ、そういう血鬼術だったのかもしれない。……と言う事は少年達も同じ目に合っていると言う事が考えられる。君は地図を持っていたな」