第28章 神器と共に炎の神楽を舞い踊れ ✴︎✴︎ +
「ぐ……はっ……」
焔(ほむら)は杏寿郎が放った強力な2つの斬撃を避け切れず、胴から鮮やかな血を滴り流した。斬られた所が焼かれたように熱い。
ボタ…ボタ……と流れる血を抑えながら、ゆっくりと片膝をついていた状態から立ち上がる。
「くそ……」
『おい、もう良いからとりあえず戻って来い』
蛇の脳に主からの声が届く。彼はスウッと姿を消して杏寿郎の目の前からいなくなった。
「消えたか…ん?…空気が少し軽くなったな」
炎の柱は炎刀に付いていた血飛沫を一度振って落とし、静かに元の鞘に納刀すると周りを見回す。
「杏寿郎さん…………!!」
すると、後ろから杏寿郎を呼ぶ声が聞こえた。
『………間違いない、本物の彼女だ』
彼はこちらに向かってくる七瀬が敵ではないと言う事を確認すると、安心して柔らかい笑顔を彼女に見せた。