第28章 神器と共に炎の神楽を舞い踊れ ✴︎✴︎ +
「血鬼術——」
「火炎旋回(かえんせんかい)」
線状になった炎が杏寿郎目掛けて、三度(みたび)自分の周囲を回るように向かって来る。
『先程からこの旋回の動きが非常に多いな…』
「壱ノ型 —— 不知火!」
彼は一度腰と膝をグッ…と落とすと、その反動で地を蹴った後に一閃の炎の斬撃を放ち、向かってきた血鬼術を掻き消した。
「流石は炎柱と言うだけあるな。おもしれぇ!! 俺は夕葉様と同じ炎の属性。選ばれた存在なんだよ。人間にも同じ炎を使える奴がいる……倒しがいがあるってもんだ」
「夕葉とは誰だ…?」
「俺が最も尊敬している、お方の名前だ!!」
焔(ほむら)は掌に人魂をボゥ……と灯す。
「血鬼術————」
「烈火の刺突(れっかのしとつ)」
人魂が突如、槍のように細長くなり、杏寿郎に向かって放たれた。
『ふむ、ここは我が弟子が編み出した型だな……』
再び呼吸を整えると、炎柱は下半身により力をいれて、深く踏み込んだ。
「炎の呼吸 壱ノ型・改」
「———不知火・連!」
左に一閃、右に一閃。七瀬が杏寿郎との特別稽古で放ったものより素早く赤い刃が振るわれ、そして勢いも数倍増した業火の連撃が炎の蛇を襲う。