第28章 神器と共に炎の神楽を舞い踊れ ✴︎✴︎ +
〜夕葉から見た景色〜
「よう、蛟(みずち)早いお戻りだな」
俺は神社の屋根に座って事の様子を見ていた。当然、自分の気配は探れないように術で隠しながら。
「申し訳ありません……」
すぐ近くに姿を現した、群青色の髪をした俺の部下は項垂れていた。ま、これも予想通りなんだけどな。
「ああ、気にすんな。想定内だ。あいつ、また腕を上げたな。炎柱のお陰か……?恋ってのは凄いもんだなあ」
自分の長い銀髪を指先でもてあそびながら、俺は感心した。
七瀬に見せた幻術は「心」を乱すと言う目的で、俺が施したものだ。心・技・体の内の心の部分。
他の隊士にも同じ目的で、それぞれ見せているんだが……。
「さて、その炎柱はどんなものか。ああ、でもあいつは精神力が強靭だからなあ……噛ませ犬にでもなれば上出来か」
「所で蛟(みずち)、お前の目って…」
口の中で転がしていた部下の群青色の丸い物体をプッと掌に吐き出して、奴に向けて放り投げた。
「あまり美味くないな。綺麗なのは見た目だけか」
「くっ……はっ……申し訳、ありません!」
掌で押さえている左目からダラダラと血を垂れ流し、その大きな体をわなわな震わせている。
「目だけで済んで良かったな。まあ…再生するんだからこれぐらい構わないよな?」
ククッ……と俺は肩を震わせながら笑い、炎柱と奴に対峙させている蛇に視線を向けた。