第28章 神器と共に炎の神楽を舞い踊れ ✴︎✴︎ +
「……!」
蛟(みずち)の頬を私が放ったねじれ渦がかする。
血が滲んだが、すぐにスウ…っと消えて行った。
「気にいらんな。かくなる上は……」
彼の周りを囲う水流が一段とザア…っとうねる。
………来る…… 備えなきゃ!
「全集中!———水の呼吸———」
「血鬼術———— 水風雨飛(すいふううひ)」
「拾ノ型——— 生生流転!!」
雨が風に吹かれて激しく降るように。彼の放った水流が先程より更に威力を増して、私めがけてやってきた。
水には水……!
うねる水龍のごとく。一回、二回、三回、と回転しながらその水の流れを押し返していく。
「ん……!!」
水流の中から、小さな蛇……らしきものがこちらに向かって来たので、日輪刀で弾いて行く。
そして漆ノ型の”雫波紋突き”を彼の頸目掛けて放つけど、蛟(みずち)が体を後ろに引き、それをかわす。
『あと少しだったんだけど』
お互いが距離を取って着地する。彼は肩で息をしていた。
『よし、次で……』
私はスウ………と呼吸を整え、次の型を放とうとした瞬間、蛟(みずち)はフッと姿を消してしまい、私の日輪刀は空を切った。
「消えた………?」
首を傾げていると、あの気持ち悪い感覚が軽くなった。あ、空気もさっきより澄んでる……!杏寿郎さんを探さないと……。
私は日輪刀を鞘に納めると、境内の横を通り抜けて周辺を散策し始めた。