第28章 神器と共に炎の神楽を舞い踊れ ✴︎✴︎ ＋

私の前にいる、この男。

背の丈、180〜185はあるだろうか。
群青色の短髪に、同じ色の双眸。白と紺が横に交互に混ざった長袖の羽織を素肌にはおっていて、下には紺一色の袴に足元は裸足。

左頬に紺色で蛇の形をした痣のようなものがあり、顔立ちは精悍と言った印象。そして、特徴的なのは長い尾の先につながっている1匹の蛇の頭。
八岐大蛇が分散でもしたような姿形だった。


「夕葉って誰？」

「我の主だ。しかし、お前に話すような事ではない。娘、さっさと来い。手荒な真似はしたくない」

彼は私に向かって大きな右手を差し出す。


「行くわけがないでしょう！そこをどいて。先に進みたいの」
茜色の刃先を改めて、目の前の彼に真っ直ぐと向ける。


「そうか、それは残念だな。では……」
蛟（みずち）の周りに水流が彼を取り囲むように現れる。

「血鬼術——」
「螺旋天上（らせんてんじょう）」

水流が螺旋のように回りながら、術名通りに天に向かって上がっていく…かと思ったらその水流は私めがけてまっすぐに向かって来た。


「水の呼吸 陸ノ型」
「————ねじれ渦」

使った呼吸は水。刀身は茜色から空色に変化。私は陸ノ型を放ち、体全体を使ってねじり、その水流を絡めとるように竜巻のような渦を出した。






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群青色（ぐんじょういろ）……紫みがかった深い青色