第28章 神器と共に炎の神楽を舞い踊れ ✴︎✴︎ +
再び金曜日の朝………煉獄邸の庭にて。
「千寿郎!足底だけではなく、膝も意識しろ! 集中だ!」
「はい! 父上!」
私、炭治郎、善逸、伊之助が竹刀で素振りをしているすぐ横で、千寿郎くんが槇寿郎さんの指導を受けている。
炎の呼吸には欠かせない、踏み込みの鍛錬だ。私と杏寿郎さんも基礎運動として、毎回必ずやっている。
2人とも嬉しそう……と微笑ましい気持ちで見ていたら「こら」と額を優しくこづかれた。
「ん……すみません」
「七瀬の気持ちはよくわかるが、稽古には集中!」
「はい…師範」
「む…久々にそう呼ばれると新鮮だな」
「槇寿郎さんと千寿郎くんを見てたら、久々に呼びたくなってしまいました」
「そうか…沢渡少女」
「あはは、そう呼ばれるのも懐かしいです」
私は杏寿郎さんと笑いあった後、再び竹刀を振り出す。
今夜は大蛇退治だ。より一層気合を入れて、素振りに励んでいると……
「おはようございます、炎柱様!」
「おはよう、内田くん!!」
「今日は凄く賑やかだなあと思ったら……ええっ??槇寿郎様??ゆ、夢じゃないんですよね?? もしかして千寿郎様と稽古を?!」
背中には「隠」の一文字。目元が見える頭巾をかぶって隊服を着ているこの人は煉獄家専用の隠の内田亮さん。
「おはよう、内田。間違いなく俺だ。安心してくれ! それからすまんな、お前にも長い間酷い態度で接してしまった……」
槇寿郎さんが申し訳なさそうに内田さんにそう言うと、彼は目頭が熱くなったようで泣き出してしまった。