第27章 岩戸から出てくる日輪 +
夜が明けて、金曜日の朝。
チュンチュン………雀の鳴く音が聞こえる。
『あ、朝だ…』
夢も見なかった……。
目の前には大好きな恋人のとびきりかわいい寝顔。
これを近くで見れる私は本当に幸せだなあとつくづく思う。
『また起きてるのかなあ……どうなのかな?寝てるフリしちゃおうかなあ?』
………と色々頭の中で考えていたら、大きな腕にギュッと抱き寄せられた。
「寝てるフリをするなら、もう少し早く決めないとこうなるぞ」
ふふっ…本当にその通りだなあ。
「おはようございます」
私もギュッと恋人を抱きしめる。うーん。朝からこの腕の中にいれる充足感と言ったら………
「おはよう」
頭上から優しく、低い声が響く。
「杏寿郎さんのおかげで夢も見ませんでした。よく眠れましたよ。スッキリです」
「それは良かった」
彼が私のおでこに口付けてくれた。これだけで胸が心地よく跳ねてしまう。
「さ、稽古をするぞ」
「はい……!」
私は彼の頬にお返しの口付けを贈ると、一緒に布団から出て着替えの為に一度自分の部屋に向かった。