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炎雷落ちるその日まで / 鬼滅の刃

第27章 岩戸から出てくる日輪 +



杏寿郎さんが柱になった時、槇寿郎さんは”くだらない” と一蹴したようだ。私も同じ事を言われた。
もしかしたら……彼に言った時と同じ表情をしていたの、かも。


「俺は君の思いがとても嬉しかったぞ? しかしどうしても納得がいかないのであれば、師範として父に謝罪をしよう」

「え、そんな! 悪いですよ。私がやった事なので明日自分で槇寿郎さんに謝罪します……」

「俺がやる」「私がやる」の押し問答を数回繰り返した結果、2人で頭を下げよう。

そんな結論に落ち着いた。


「七瀬……」

「んっ、」

数回角度を変えて口付けが繰り返された後、最後にちうと吸い上げた杏寿郎さんは、私をギュッと抱きしめ直してくれた。


「本当にありがとう。正直、少し救われたかもしれん。父にくだらんと言われた時の気持ちに、ようやく区切りをつける事が出来た気がする」

「そうですか? なら良かったのですけど」

「ああ。七瀬が益々愛おしくなった。故にもっと君とのやりとりを楽しみたいが、今日はここまでにしておく」

「…お気遣いありがとうございます」

「そのかわり…任務が終わったあとはわかっているな? 」


鼻と鼻がふれあいそうな至近距離で、日輪の双眸がじいっと私を見つめる。それだけで心臓の動きが速まっていく。


彼は私の唇をそっとなぞると、顎をすくい、また柔らかい温もりを唇に一度落としてくれた。
名残りおしさが胸に残るけど…明日は任務だものね。


「……はい」

「さあ、もう寝るぞ」

私の左頬を撫でた後、行燈の明かりを消して彼は大きな目をそっと閉じた。暗闇でもわかる、整った顔立ち。私も彼の左頬に掌を当てる。

「どうした?」

目を閉じたまま、杏寿郎さんが答える。


「いえ…杏寿郎さんに触れると本当に安心出来るなあって」

「そうか…」

彼の呼吸が深くなっていく。起きるのも早いけど、寝付くのも早いんだよね…。

ん……ようやく瞼が重くなって来た。杏寿郎さんの隣は本当に心地いいから、よく眠れそう…。

私は1つあくびをして、彼の大きな手に自分の小さな手を絡める。
そしてより一層体をぴたっとくっつけて、眠りについたのだった。

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