第27章 岩戸から出てくる日輪 +
「はい、そうです。それからお酒ありがとうございます!必ず鬼を倒して来ます……」
私は改めて彼に頭を下げた。
「千寿郎に伝えてくれるか?明日から再度稽古をつける、と」
「……はい!凄く喜ぶと思いますよ」
「杏寿郎には継子を大事にするようにと。それから……炎柱としての責務に今まで以上に励めと。そう伝えてくれ」
「はい……!」
「明日から食事はここに持って来なくて良い。俺も一緒に食べる」
「わかりました。でもそれでしたら、きょ…師範には直接伝えた方が良いのではないかと」
「確かにそうだな。では千寿郎にだけ、伝言を頼む」
「はい」
「七瀬さん」
「えっ、はい…」
初めて名前を呼ばれて、飛び上がりそうになるぐらい驚いた。
「杏寿郎を支えてあげてくれ。継子としてはもちろん……恋人としても」
「………!ご存知でしたか…」
「これでも元柱だぞ、君は気づいていなかったようだが、杏寿郎の事を名前で呼んでいた。それから俺の掌の感覚があいつと似ているとも言っていただろう。親しい存在でないとそう言った細かな事はわからない」
「言われてみれば…確かに……」
ダメだなあ。親子揃って敵いそうにないや……。
私は何度も頭を下げて、自分の部屋にまず酒瓶を置きに行った後、2人が待つ居間に急いで戻った。
槇寿郎さんの予想通り、後5分私が戻るのが遅ければ、様子を見に行こうと2人で話しあっていたらしい。
私は怪しまれつつも、なんとか誤魔化し。少し遅めになった朝食を2人と食べた。