第27章 岩戸から出てくる日輪 +
「型は、どこまで取得した?」
「一応判明している型は全て、です。壱ノ型は改を自分で編み出しました」
「ほう」と一瞬。
意外そうに目を見開いた槇寿郎さんだけど、すぐにまた険しい表情に戻る。
「悪い事は言わない。今すぐ継子はやめなさい」
「え、どうしてですか?」
何でやめないといけないの?彼は私に視線を合わすように、しゃがんでくれた。そしてぎろりと睨みつけられる。嫌悪感でいっぱいの双眸だ。
「炎柱の書は見たのか?」
……槇寿郎さんがズタズタに破ったと言うあれだよね。
はい、と私は頷く。
「君はあれを見ても、何も思わなかったのか」
「どう言う事でしょう……」
はっとした槇寿郎さんは、それから炎柱の書に書かれていた真実を私に語り始めたのだ。
「炎の呼吸は基本の五大呼吸だが、その始まりになった祖と言う物がある」
「日の呼吸、でしたっけ」
「そうだ」
それは「始まりの呼吸」とも言われている、全ての全集中の呼吸の源流だ。
炎柱の書によると、日の呼吸は最大にして最強の剣技。
故にそこから枝分かれした五つの呼吸……岩・雷・風・水・炎は単なる派生でしかないのだと言う。
「日の呼吸を使う剣士には額に鬼の紋様のような痣があったそうだ。剣士は当時の柱達に自分の剣技を指導したが、彼と同じ呼吸を放てた剣士は一人としていなかったらしい。だから皆(みな)は工夫して自分達のやりやすいように呼吸を変化させていった」
その内に一人また一人と、日の呼吸を使う剣士のように体のどこかに痣が出る者が増えていく。驚くべき事に痣を出した剣士は今までよりも段違いに身体機能が上昇し、鬼を討伐出来る確率も上がったのだそうだ。