第27章 岩戸から出てくる日輪 +
そして今朝、木曜日。
「お願いします!どうしても必要なんです!」
火曜日、水曜日、と全く同じように襖の前で頼み込んでいる。
もう明日金曜日の夜には討伐に行かないといけない。私は大分焦っていた。何としても、手に入れなければ…。
「お願いします!!」
額を床にこれでもか、と言うほど擦りつける。
5分ぐらいその状態でいた所 ——- 目の前の襖が深いため息と共に開かれた。
私がそろそろ、と頭を上げるとそこには杏寿郎さんや千寿郎くんと同じ金髪、そして日輪の双眸を携えた男性の姿があった。
2人と違うのは無精髭が生えている所と目尻のしわだ。
そして、出て来た彼は私が例えた「夕日」ではなく、朝の光を受けてこちらを真っ直ぐと見据える「朝日」だった。
天照大御神、出て来た……。
少し涙が出そうだったけど、そこをグッと堪えてこう言葉に出す。
「槇寿郎さま。改めまして、おはようございます。沢渡です。お酒の件、お願い出来ませんか」
じろりと私を見下ろして来る、強い2つの炎に怯みそうになるけど、負けじと見つめ返す。
「………」
「………」
「君は杏寿郎の継子と言う事だったな」
「はい……」
良かった、話してくれた……!少しだけ心の中がホッとする。