第27章 岩戸から出てくる日輪 +
「そうだな。俺は七瀬は連れて行くべきだと考えている」
杏寿郎さんがそう答えた瞬間 ———
「煉獄さん、ダメです!危険です!」
炭治郎が勢いよく、立ち上がった。
「炭治郎、座ろう?」
私は弟弟子の肩をポンポン、と優しく叩いて座るように促す。
「ムーン…? 」
霧雲杉の背負い箱から出て来た禰󠄀豆子が、大きな声を出した彼を気にしてか、炭治郎の元に寄って来た。
「ごめん、禰󠄀豆子もありがとな」
炭治郎が禰󠄀豆子の頭を撫でた後、私と一緒にゆっくりと座布団に腰をおろした。
「竈門少年の気持ちもわからなくはない。しかし、君と同じで2つの呼吸が使える七瀬は貴重な戦力だ。いいか?よく聞いてくれ。俺達鬼殺隊は鬼の滅殺を最も優先しなければならない。それは君もわかるな?」
「はい……」
杏寿郎さんは一旦そこで言葉を切ると、湯飲みに入っているお茶を一口啜る。
「故に個人的な感情は時として封じなければいけない時がある。それは鬼が世に蔓延る限り、ずっと続いて行く事だ。今回の鬼討伐に七瀬は間違いなく必要。猪頭少年も言った通り、八岐大蛇について1番詳しいのは七瀬だからな。だから、俺は連れていく。そう決めた」
とても嬉しい言葉だった。