第27章 岩戸から出てくる日輪 +
「カステラ争奪戦も結構だが、そろそろ本題に入っても良いか?」
私の右隣でそう発したのは杏寿郎さん。
「はい……」
炭治郎と善逸が途端に手を止めて、正座をした。
「仕方ねぇな」
伊之助もごくん、とカステラを飲み込むと姿勢を彼なりに正した。
「今回の任務について、君達の意見を聞かせてくれ」
炎柱の杏寿郎さんの元に届いた今回の任務の内容はこうだった。
神社の付近で、夜な夜な若い女の子……10代半ばから後半に該当する人達ばかりが襲われており、参拝がめっきり減って、神主さん達が大変困っているらしい。
襲う鬼の特徴。
8本の頭に8本の尾を持った、日本神話さながら。
「八岐大蛇(やまたのおろち)」を彷彿とさせる怪物、との事。
今回その鬼の討伐を杏寿郎さんと一緒に同行せよ、とお達しがあった人選が —— 炭治郎、善逸、伊之助、の3人。
そして、杏寿郎さんの継子である私だ。
「あの……」
善逸が右手を上げ、1番に口を開く。
「我妻少年。言ってみろ」
「はい、若い女の子ばかり狙われていると言う事ですが、七瀬ちゃんもその若い女の子に該当すると思うんですけど」