第27章 岩戸から出てくる日輪 +
「天照大御神って天岩戸からどうやって出て来たか、お2人はご存知ですか?」
私は兄弟の顔を交互に見る。
「神様達が集まって……舞を舞ったり、その舞をみて、岩の前で騒いだり……」
「うん」
私は千寿郎くんの答えをしっかり聞く。
「中にいる天照大御神が何で自分がいないのに、外は楽しそうにしてるのか。そっと覗き見した時に、思兼神(おもいかねのかみ)が天照大御神の手を引いて、手力男命(たぢからをのみこと)が岩の扉を力強く開いて出て来た」
すごい!完璧!
「千寿郎くん、完璧だね!本当に感心したよ」
私は心の中だけでするのではなく、ちゃんと彼に拍手をした。
「うむ!流石は千寿郎だ!」
「いえ、そんな事は……でも兄上もありがとうございます……」
私と杏寿郎さんが立て続けに褒めたせいか、彼はほんのりと頬を染めつつも、嬉しそうだ。
「だから日本神話になぞらえて、岩戸の外にいる私達が楽しそうにしていると、槇寿郎さんも外が気になってお部屋から出て来るのかなあ?なんて、思うのですが……」
うーん。大した事が言えなくて本当ダメだなあ。自分の幼さに呆れてしまう。