第27章 岩戸から出てくる日輪 +
「………」
「………」
『やっぱり怒ったかなあ』
私は2人が口を開くのを待つ。
「驚きました」
「だな。そのように見えているとはな」
あれ、怒ってるわけじゃなさそう。私は兄弟の顔を交互に見ながらこう続けた。
「煉獄家の男性達は皆さん、太陽だと思うんです」
「ほう」
「へえ…太陽なんですか」
杏寿郎さんと千寿郎くんの大きな目が見開かれる。
「杏寿郎さんは1日の始まりを力強く、暖かく照らしてくれる希望の朝日」
まず、彼にそう伝えると嬉しそうな笑顔を見せてくれた。
「千寿郎くんは日中の太陽、白日(はくじつ)。一年中陽だまりのように優しく照らしてくれる癒しかな」
次に千寿郎くんを見る。彼も嬉しそうな笑顔を見せてくれた。
「……槇寿郎さんは」
一旦言葉を切り、こう続ける。
「夕日でしょうか。柱を務めていらした時は、杏寿郎さんと同じで朝日のような方だったと思うのですが」
「………」
「………」
私が発した言葉の後、2人に沈黙が落ちる。
「あの、あくまでも私から見たら……の話ですよ?」
夕日は夜に向けて沈むもの。だから槇寿郎さんがこのまま沈んでしまうのかなあ。そう思えて仕方ない。