第27章 岩戸から出てくる日輪 +
「確か弟の須佐之男命(すさのおのみこと)が乱暴した事に怒って、閉じこもってしまうんですよね」
凄い!そこまで知ってるんだあ。
「古事記、読んだ事あるの?」と聞けば「はい!」と笑顔で返事が返って来た。
「七瀬の羽織の柄の八雲は」
「はい」
杏寿郎さんが今度は口を開き、私は彼の返答を待つ。
「その須佐之男命が詠んだ和歌に出てくるのだったな?」
え!杏寿郎さんもよく知っててビックリ!
「よくご存知ですね、当たりです!お二人凄いです!」
私が感激しながら言うと、兄弟は目を見合わせて、ニコっと笑った。
「千寿郎が、七瀬の羽織の柄は八雲だと教えてくれてな。和歌に出てくると言うのは自分で調べてみた」
わあ、嬉しい。調べてくれたなんて。
「して、何故いきなり日本神話なんだ?」
こちらを見て彼が含み笑いをしてくる。
んーちょっと言いにくいなあ。
「あの、怒らないで聞いて下さいね?」
「そんな事しません」
「俺もだ」
私は理由を2人に話した。
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八雲(やくも)……… 八重に(幾重にも)重なり合った雲