第27章 岩戸から出てくる日輪 +
『とても情熱を持って俺達に剣の指導をしてくれていたんだが、ある日突然剣士をやめてな』
『昔からああではなかったんだ。鬼殺隊で柱にまでなった人だからな』
杏寿郎さんの継子になってまだ間もない時に、私が槇寿郎さんの事について何気なく質問した事がある。
すると上記のような答えが返って来た。
瑠火さんが亡くなられた事。”日の呼吸”について書かれていた歴代炎柱の書を読んだ事。
この2つが同じ時期に重なって、部屋から出てこなくなり、お酒を毎日飲んで過ごす、言う状態になったらしい。
ちょっと閉じこもる理由は違うけど……
「天岩戸(あまのいわと)から出てこない天照大御神(あまてらすおおみかみ)みたい」
私がボソッと呟いた一言。
「む?」「え?」
兄弟の驚く声が目の前から聞こえた。
私を見る4つの日輪の目が大きく見開かれている。
「あー、あのですね?」
なんて説明しよう、そう思っていると。
「日本神話ですか?」
千寿郎くんが開口一番、言ってくれた。
「そう!日本神話!」
よく知っているなあ。凄い。心の中で拍手を送った。