第27章 岩戸から出てくる日輪 +
「おはようございます。沢渡です。槇寿郎様、朝食お持ちしました」
今日は週の始まりの月曜日。
私は煉獄邸のある一室に、おぼんに乗せた食事を持って来ていた。
この屋敷の主、煉獄槇寿郎さんの部屋の前に今いる。でも返事はない。いつもの事なので慣れてはいる。
お酒の臭いが鼻につん、と来た。これもまた相変わらず。
私はおぼんを襖の前に置く。
「では失礼致します」
見えないとわかってても一礼して、元来た廊下を引き返した。
後ろで襖を開ける音が聞こえる。
おぼんを取り上げたようだけど、またすぐに襖が閉まった。
3つ目の太陽。
煉獄槇寿郎さん。杏寿郎さんと千寿郎くんのお父さん。
「戻りました」
「お帰りなさい、今日もありがとうございました」
「うむ、ではいただくとしよう!」
私は兄弟が待っている居間に戻ると、自分がいつも座っている座布団に腰を下ろした。
今朝の献立……白いご飯、たくあん、だご汁(さつまいも入り)……と、鮭の塩焼き。
「では今日も…いただきます!!!」
3つの声が揃う。
そして、3人で食べ始めるいつもの毎日が始まった。
「七瀬の作るだご汁はうまい!!」
「七瀬さん。俺もこれ、大好きです」
「ありがとうございます! お二人がそう言ってくれて、私の母も嬉しいんじゃないでしょうか」
煉獄家でも、時々味噌汁の代わりにだご汁を食卓に出している。
槇寿郎さんも毎回食べてくださっているからお口には合ってるようだ。
槇寿郎さん、か。私は深く息を吐き出した。