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炎雷落ちるその日まで / 鬼滅の刃

第26章 蟲柱、胡蝶しのぶ +



「私との任務を少しでもやりやすくしたい —— そう思ったのでしょうね。自分には兄がいた。鬼にされてしまったけど、冨岡さんが討ってくれたんだと…話してくれました」


「そうか」

しのぶはその後も七瀬との共同任務時に話した出来事を杏寿郎に語っていく。

姉はこんな所があった、兄もこんな所があった。妹であるしのぶと七瀬。自分達から見た長子の共通点を、探っていったのだと言う。


「姉さんだったら、こんな時どうするのだろうか。そんな事を最近よく考えます。でも……私は私ですし、姉さんは姉さん。違う人間ですから、自分に出来る事をしていくだけです」

ふふっとしのぶは笑顔を見せる。

「それで良いのではないか?」

「何だか今日は話しすぎました。申し訳ありません。軟膏、処方しておきますね。患部はできる限り清潔にして、朝晩しっかりと塗って下さい。念の為に抗菌薬も出しておきますので、万が一治りが遅いようならこちらも使ってみて下さい」

「承知した! 色々とありがとう!」

「いえいえ。こちらこそです。煉獄さん、七瀬さんに言伝して頂けますか?」


処方薬の詳細を診療記録に書き込んだしのぶは、再度体を杏寿郎に向けて話を始めた。






















「お帰りなさい! 火傷の具合はいかがでした?」


一時間後、しのぶの診察が終わった杏寿郎は炎柱邸へと帰宅した。今は午後一時を回った所である。玄関扉を開けると、廊下の奥から姿を見せたのは着物姿の七瀬だった。

「ただいま! 特に問題なければ、一週間程で軽快するそうだ。心配かけてすまない! 」

「いえいえ、ひどくなくて何よりでしたよ。あ、荷物お持ちしますね」

上がり框(かまち)に腰掛け、脱刀した杏寿郎は持っていた風呂敷を七瀬に渡す。そして共に自室へと向かっていく。


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