第3章 起きて進め
「はあ……気持ち良いーー」
お湯に浸して温かくなった手ぬぐいを両目に当てて、感嘆の声をもらした。これで目の腫れは少しひくはずだ。
「ありがとね」と善逸にお礼を言った後、先程の煉獄さんとの出来事を彼に話し始めた。
巧の言伝の事を話し終えると、善逸はシクシク泣き出してしまう。
「グスッ……俺も前に同じような事言われた。いっつも弱音ばっか言ってんのにさ……それでも信じてくれてる人がいるんだなあって思うと本当嬉しかった」
もう………もらい泣きしちゃうじゃん……。
「そうだね」と私は相槌を打つと、椅子に座っている善逸の肩をぽんぽんと優しく叩いた。
「善逸の事、弟みたいってよく言ってたよ。ちょうど同じ歳の弟さんがいたみたいで」
「俺もにいちゃんいたら、こんな感じなのかなって思ってた」
2人は仲良かったもんね。恋人の私が少し妬けるぐらいに。
「巧はバカだよ。何で先にいなくなっちゃうの……。そこまで言うなら見届けて……欲しかったのに……」
また涙がブワッと出てきた。
「七瀬ちゃん、バカはちょっ……ひどいよ……」
善逸もまた泣き出してしまい、結局2人でワンワンと泣いてしまった。