第3章 起きて進め
1人になった私はふう、と息をつき、ゆっくりと背伸びをしてみる。
体の中心に響くような痛みが、背中からジワジワと全身に広がった。
これ………痕残るのかな。
結構大きそうだから嫌だなあ、と思っていると、廊下からパタパタと早歩きでこの部屋に向かってくる音がした。
自分がいる部屋の前で足音がとまる。
トントン、と引き戸を叩いて来たので私は「どうぞ」と入室を促す。
「七瀬ちゃん!目が覚めて良かったあー」
ガララ……!と勢いよく引き戸をあけ、私の所に駆け寄って来たのは一期下の後輩隊士の我妻善逸。
育手は違うけど、巧と善逸はとても仲が良かった。
なので巧を1番よく知る人物、と言っても良いかもしれない。
「ねえねえ、今この部屋から出てきた人、凄く目立ってたんだけど、誰?」
うーん。あなたも黄色の髪に山吹色の羽織で目立つのは一緒じゃない?
そう言いたくなるのを無理やりに喉の奥にひっこめる。
「炎柱の煉獄さんだよ」と質問に答えた。
「え?何で柱の人が七瀬ちゃんの所に?」
「これから話すよ。その前にごめん。来てもらった所、申し訳ないんだけど……」
私はある物を持ってきてもらうように善逸に頼んだ。