第24章 霞む記憶が晴れた先に +
「ここにいたのね。まきをと一緒に探してたのよ」
「雛鶴さんまで……どうされたんですか?」
彼女が3人いる宇髄さんの奥様で1番年上の人。
とてもしっかりしていて、頼れるお姉さん。左目の下の泣きぼくろが色っぽい。
「七瀬ちゃん、カステラが好きでしょ?とびきり美味しいお店のものがあるから、呼びに来たの」
そう言って、襖にもチラッと目を向ける。
「はい、じゃあ戻ります…。あのそれで…」
「うん、わかってるから。2人で戻っておいで」
「はい…」
「じゃあ、先に行ってるよ」
そう言った雛鶴さんも私の頭をよしよしと撫でてくれ、まきをさんと一緒に来た廊下を戻って行った。
「………」