第24章 霞む記憶が晴れた先に +
「七瀬ちゃん?いる??」
ん……!杏寿郎さんから、恋の勝負を受けていたその時。
私は襖の外から自分を呼ぶ声に飛び上がるくらい、びっくりした。
そして、慌てて杏寿郎さんの唇から離れる。
「すみません。ちょっと…応対して来て良いですか?」
「……ああ」
「流石、落ち着いていますね」
「まあな」
ポン、と私の頭に手を乗せてフッと笑う彼。
襖をゆっくりと開けると、まきをさんがいた。
宇髄さんの奥様2人目。前髪が金髪になっていて、頭の上で1つ結びをしている彼女は、とてもサバサバしていて話しやすい。
「どうされたんですか?」
まきをさんはニコッと笑って、よしよしと私の頭を撫でる。
「いいね〜!すっごいかわいい顔してるよ」
「……はあ…」
恥ずかしい。